ON 異常犯罪捜査官
フジテレビ系列で放送されているドラマ「ON異常犯罪捜査官」。
ショッキングな映像もある刑事ものの作品。
メインキャストは、深い闇を抱えた刑事である藤堂(波留さん)。
殺人犯を憎み、彼らを自殺に追いやった心療内科医・中島(林遣都さん)。
人を殺すのは誰?
8月30日放送分で中島が、
「人殺しとそうじゃない奴との差はどこにあるんだ」
と問いかけられて発した言葉が次の通りです。
「ないと思う。動機があろうとなかろうと、どんな生い立ちや生活環境を持っていようと、その状況にさえなれば、人は誰しもが殺人を犯す可能性があるんです」。
この言葉、どうお感じになりますか?
これは『歎異抄』親鸞聖人の言葉!?
これはまさに、親鸞聖人が語られた言葉だと思います。
ドラマ製作者はご存知だったのでしょうか。
『歎異抄』にある言葉の和訳は以下の通りです。
「どんなことでも自分の思い通りになるのなら、浄土に往生するために千人の人を殺せとわたしがいったときには、すぐに殺すことができるはずだ。
けれども、思い通りに殺すことのできる縁がないから、一人も殺さないだけなのである。
自分の心が善いから殺さないわけではない。また、殺すつもりがなくても、百人あるいは千人の人を殺すこともあるだろう」
「人はだれでも、しかるべき縁がはたらけば、どのような行いもするものである」(『歎異抄』第13条)
大変難しいですが、大切なことを伝えていると思います。
誰もがそうなる可能性がある
世間を騒がせている高畑容疑者の事件。
強姦致傷は、精神的な殺人と言われるほど大変なこと。
被害者の身心は深く傷ついておられます。
私たちにはただ被害者のこれからのしあわせを願って手を合わせるしかできません。
不用意な発言は控えなければなりませんが、なぜ高畑容疑者はあんなひどいことをしてしまったのでしょうか。
人気はうなぎ登り、これからというときに人生を棒に振ってしまいました。
しかるべき縁がはたらいて、欲望に負けてしまったのです。
私たちは縁によって、いついかなる罪を犯してしまうかもしれません。
だからこそ、浄土真宗では、強い縁となるお念仏に導かれて人生を歩むことの大切さを説いてきたのでしょう。
ぜひ一度、親鸞聖人に、『歎異抄』に触れていただきたいと思います。
私たちは、ドラマ、歌、落語、さまざまな場面で仏教に出会っているのです。
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