鎌田實さんを迎えて仏教講演会

開会式の勤行
なぜ僧侶である私たちが鎌田さんのお話を聞かせていただこうと思ったのか。
鎌田さんは身体の治療だけでなく、心のケアも含めていのち全体を大切にされます。
仏教は古来よりいのちを見つめてきました。
いのちとはいったい何だろう、どのようにすれば元気に安らかに生きていけるのかを考えてきました。
同じくいのちの安らかなることを目指す医療者と宗教者が手を携えていくのは自然なことです。
鎌田さんの豊かな経験からいのちを巡るお話を聞かせていただき、どのようにいのちに向き合っていくのかを考えてみたい。
生命、いのちの誕生

鎌田先生登場
38億年前に生命が誕生、最初は単細胞。いのちは必ず終わるが、クローンを作ることができた。
しかし全く同じいのちが生まれるということは、一つのいのちが終わりを迎えようとも悲しくはない。
その後、性別ができてそれぞれの染色体を一つずつ引き継ぐ唯一無二のいのちが生まれるようになった。
だからそのいのちに終わりが訪れると悲しいのである。
頭が良かろうが悪かろうが、障害があろうがなかろうが全てのいのちが同じく38億年のいのちの歴史を持っているのである。
700万年前、人類誕生とともに愛が
700万年前に人類が誕生、直立二足歩行をし、木の実などを取って蓄えるようになった。
それまで力によって異性を争っていたのが、物をプレゼントすることで気を引くようになった。
それが人類の愛の原点。
170万年前から人類は人のケアを
そして170万年前の人骨に、生まれつき歩けない人が成人まで生きていた形跡がある。
誰かの世話によって歩けない人が生き長らえた。ケアの原点である。
人間は愛とケアの心を古来より持っている。

熱のこもったお話
幸せは、自分のためと人のため
今一度、幸せについて考えなければならない。
感動することによってセロトニンという喜びホルモンが出て幸せになる。
人のことを考えることによってオキシトシンというホルモンが出て相手を幸せにする。
それが回ってまた自分もまた幸せを感じる。
鎌田さんの人生経験
鎌田さんは1歳10か月の時に岩次郎さん夫妻に拾われて育てられた。
医学部に進みたいと言ったが反対され喧嘩となり、ついには首を絞めてしまった。
とうとう「何もしてあげられないけど自由に生きていい。そのかわり自分の責任で生きていくんだ」と許しを得た。
「威張ったり、患者を怒鳴ったりする医者になるな。苦しんでいる人の話を聞いてあげられる医者になれよ」との言葉は今でも心に刻まれている。
結婚後、実の親ではないと知る。隠していた父母、妻のやさしさに気付いた。
これまでの人生がすべていのちのつながり、愛に生かされていたという思いが今、医師として、イラク、チェルノブイリ、福島などでのさまざまな活動につながっている。
誰かのために1%の力を
自らのいのち、生き方、死に方は自らで決めていく。
その中で1%は誰かのために行動する。それが幸せホルモンを増加させる。
100%はできないが1%なら誰かのために動くことができる。
是非、幸せホルモンを出せるように行動し、幸せに生きていきましょう。
と聞かせていただきました。
鎌田さんのお話は仏教、浄土真宗に通じている

ご挨拶
最後にお話をまとめてご挨拶させていただきました。
浄土真宗のお念仏「南無阿弥陀仏」の「阿弥陀」にははかりしれないいのちのはたらきという意味がある。
すべてのいのちがつながっている、支え合っていると気付くことで鎌田さんの言う誰かのための1%の力が生まれる。
幸せホルモンの話は仏教で説く自利利他円満、自らと他の幸せはつながっているということ。
鎌田さんのお話を自らの胸に問う。それは南無阿弥陀仏につながっている。
完璧な人間にはなれないが、仏さまに導かれながらお浄土へ生まれ往くのが浄土真宗。
お念仏を称え、自らのいのちを生き切り、他のいのちに寄り添っていきたいものです。

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