仏事の蝋燭の色は白?
前回、お坊さんの衣の色の話をしました。
そこで、今回はその続きとして仏事における色について。
まずは、蝋燭(ろうそく)です。

一心寺が所属する真宗興正派では、慶事が金、その代用として朱。
葬儀が銀、その代用が白です。
報恩講(親鸞聖人のご命日のお勤め)や年忌法要などは朱。
一般の法要などが白、となっています。
昔は朱が貴重でした。仏事は大事、だから朱を用いるのだと聞いていました。
また、浄土真宗では「死」を「往生」と受け止めます。
親鸞聖人が「めでたきことにて候へ」とおっしゃったと伝わっていることも影響していると思います。
実際、本願寺第八世・蓮如上人の葬儀には朱蝋燭が使われたそうです。
ただ、やはり悲しみの最たる場である葬儀で朱を用いるのは心情的に無理があるでしょう。
当山では、四十九日法要以降に朱を用いています。
浄土真宗他派の場合、7回忌から朱という宗派もあるそうです。
ただ、朱蝋燭を置いている店は少ないですから、白で問題ありません。
水引の色、困ったことはありませんか

仏事と色、ということで言えば、最も身近なのが水引。
その由来は、明との貿易で輸入品に赤白の縄がつけられていました。
ただの目印だったものを、贈答の習慣と誤解したことからというのが有力な説だそうです。
現在、一般的に仏事に使われているのは赤白、黄白、黒白です。
黒白はお悔み事に用いる、これは前回述べた喪の色が黒と定まったことと関係しています。
銀色もありますが、これは上の蝋燭と同じと考えれば良いでしょう。
また法事などでは黄白が多く使われます。
これは、黒白が皇室が使う紅(黒に近く見える)白と見間違うことから京都近辺で使用されていたようです。
黄白を使わない地域も多くあります。
現在、関西地方では、一般には49日までが黒白、忌明けから黄白だと言われているそうです。
ただ、浄土真宗としては黄という色の位置づけは定められていません。
浄土真宗の住職として水引の色は
葬儀、法事での水引の色は先方の気持ちを慮って考えれば良いと思います。
黒白を基本として、悲しみが癒えてきたと思えば黄白を使えば良いでしょう。
ただ、浄土真宗の場合、お寺へのお供えや僧侶への布施は、基本的には赤白を用いるのが本来だと思います。
もちろん葬儀という悲しみに沈んでいる時には当然、黒白で良いのです。
故人が浄土に往生されたことを、落ち着いて受け止めることができた時に赤白にすれば良いと思います。
また、水引を用いなくてはならないというわけではありません。
一昔前まで白一色のお包み、半紙などを使っていたわけですから。
お包みに書く言葉は宗旨によって異なります。
仏教では「御香典」、「御布施」「御礼」が最も広く通じると思います。
わざわざ色を変えているというのは、心を表すためでしょう。
お香典、お供え、お布施、それがどのような意味を持つのか。
形式的に、いつからどの色をというよりも、自分と先方の気持ちを考えることが大切ではないでしょうか。
(宗派、寺院によって考えが違うことがあります。できればそれぞれご住職にお聞きください。)
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